『限界を超えた村』竹森正人著
- 2022/01/03
- 10:13
『限界を超えた村』竹森正人著(東高文庫/2021年刊)
“限界集落”という言葉を知ったのはちょうど東北大震災の前年あたりであったから十年以上前のことで、当時熱心に行っていた石薬調査の為、九州の山間部にある超過疎の村落を訪れたのであるが、本書は“限界を超えた村”つまりは限界を突破して消滅してしまった村の物語である。
著者の生まれ育った高知県の白石村が消滅するまでを昭和三十年代から順に回想したものであるが、淡々とした筆致ながら不思議と胸を打つものがあって、小さな村落出身の方が読むと自身の故郷と重なって涙がちょちょ切れる一冊かもしれない。
実は此の本、ISBNすら取得していないがっつり私家版お手製の小冊子で、頁数は僅かに63ページ、活字も埼玉福祉会真っ青の大きさ。
ところが、口コミで評判を呼んで50冊刷られた第一版(?)が一瞬で完売、発売から一か月経たずに第二版が増刷され、庵主が入手したのは其の第二版である。
ウィー東城店さんで取り扱っているので、ご興味のある方は問い合わせてみて頂きたい(続編と合本にして新版として出すことも検討中とのこと)。
なお、この本の存在を教えてくれたのは吉川弘文館の横井真木雄さんである。
眼の利く友人の存在はどのような分野であれ有難いものだ。
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