珍しい算木

年初にヤフオクで珍しい筮具一式がセットで出品されていて、散々競り合った末に87000円という高額で落札されていたのだが、一品一品が非常に珍しく興味を引かれた。

私が落札して蒼流庵蔵に帰したというものではないから、掲載に若干躊躇するところもないではないが、史料的価値が高いように思われるし、また調べてみたところ、ネットオークションの商品画像というのは著作権の対象外であるらしいことと、商用利用ではないことを鑑みて敢えて拙ブログにて紹介させて頂くこととした。

古物の鑑定は専門外なので、制作年代ははっきり判らぬものの、戦後のものとは思われず、明治～大正くらいだろうか。

ケロク器は無脚の一枚板タイプで初めて見る形状

真勢流で用いられる簡易立卦具“円蓍”

刻まれた文様も初めて見るものであるが、噂に聞く黒柿製らしく思われるのが少し嬉しい。

黒柿製の算木があることは松井羅州の本に出ているが、見たのは（あくまで写真であるけれど）初めて。

裏面にも何やら色々刻まれているようだ。

青木良仁先生によると、天津金木に使われたものかもしれないとのこと。

爻卦算木も私たちが今日用いているものと様子が違っていて、今東光「筮具抄」（『清閑』改巻三/1940）掲載の爻卦算木が現行品と同じ仕様であることからすると、矢張それなりの古さを考えて良いものだろうか。

青木先生によれば「清明風、不周風というは、中国の八風の表現で、季節を表す言葉もあるので、神社の天候占いで使われたものかもしれません。中国の術数で風角占というのもあるのですが、使われている風の表現が違うので、別のものだろうと思います」とのことであった。

東洋風の星座？も描かれていて、近代以降の古神道の色が濃い感じのものか（青木）

こちらは極く普通の両象算木と四象算木だが、他に白木の未完成品のようにも思えるものが複数あるところからすると、全て器用な占者のお手製アイテムなのかもしれない。