近衛第二次内閣の前途に対する筮占
- 2022/02/15
- 19:29
かつて近衛文麿をベタボメにした石龍子の観相人物評論を取り上げた事があるが、実は御大でさえ此の点では同時代の占者と似たり寄ったりであったらしいのを、『易学大講座』第七巻から覗き見る事が出来るようだ。
革卦解説の末尾に附された占例「近衛第二次内閣の前途に対する筮占」は文字通り、昭和15年7月22日に組閣された第二次近衛内閣の其の後を予想したもので、得卦は沢火革之水火既済とある。
『易学大講座』に収載された占例は、求占者の依頼に応えて筮を執った日常の占が大部分を占めているが、ここでは『高島易断』にしばしば見えて居るような天下国家の問題を覗き見ることに挑戦している(もっとも興味本位で執った筮ではあく、“某方面より筮占を乞はれ”と断ってあるが)。
しかし、残念ながら然して的確な断を下せたとは言えないようだ。
勿論、太鼓持ちを疑われるような酷い礼賛に終始している石龍子本のような内容ではないし、例によって断定を避ける回りくどい文体は或る種の保険なのであろうが、「その健闘を期待」した結果、その期待は脆くも裏切られたという他なかろう。
また、在職期間について、明後年(昭和17年)までは身命を賭して職に止まるであろうとする推断も、昭和16年10月に無責任な投げ出し総辞職となった訳だから、其の点からも読み取れていないことになる(もっとも略筮を用いたらしく思われるから、あまり細かい事まで判断するのは土台難しいに違いないけれど)。
昭和の易聖にしてさえ時事占が容易ならざる占題であることを窺うに足る占例と言えようか。
革卦解説の末尾に附された占例「近衛第二次内閣の前途に対する筮占」は文字通り、昭和15年7月22日に組閣された第二次近衛内閣の其の後を予想したもので、得卦は沢火革之水火既済とある。
『易学大講座』に収載された占例は、求占者の依頼に応えて筮を執った日常の占が大部分を占めているが、ここでは『高島易断』にしばしば見えて居るような天下国家の問題を覗き見ることに挑戦している(もっとも興味本位で執った筮ではあく、“某方面より筮占を乞はれ”と断ってあるが)。
しかし、残念ながら然して的確な断を下せたとは言えないようだ。
勿論、太鼓持ちを疑われるような酷い礼賛に終始している石龍子本のような内容ではないし、例によって断定を避ける回りくどい文体は或る種の保険なのであろうが、「その健闘を期待」した結果、その期待は脆くも裏切られたという他なかろう。
また、在職期間について、明後年(昭和17年)までは身命を賭して職に止まるであろうとする推断も、昭和16年10月に無責任な投げ出し総辞職となった訳だから、其の点からも読み取れていないことになる(もっとも略筮を用いたらしく思われるから、あまり細かい事まで判断するのは土台難しいに違いないけれど)。
昭和の易聖にしてさえ時事占が容易ならざる占題であることを窺うに足る占例と言えようか。
スポンサーサイト