好きな卦
- 2022/02/17
- 23:15
坎為水を“男子本懐の卦”としたのは加藤大岳氏で、これが独り歩きしてしまっている感があるけれど、『易学研究』に掲載された晩年の随筆などでは、このような卦は今では敬遠したという気持ちが強いと何度も述懐されていて面白いが、実のところ最初期の著作に数えられる『易学大講座』でさえ、すでにかかる気持ちが芽生え始めているらしき事が看取されるのである。
第三巻の謙卦解説において、氏は自身の好む所の易卦の変遷について順に述べておられるが、この講義の時点では「謙の卦が一番好き」だとしておられる。
そして最初に一番執着した卦が坎為水、その次に守り本尊としたのは天雷无妄だという回想が続くのだが、誰しも好きな卦というのがある筈で、キャリアが長ければ其の好みにもおのずと変化が生じるのも当然であろう。
そして、人の好みは十人十色だから、傍から見ると其の卦のどこに惹かれるのかサッパリ判らないような卦を挙げる人も少なくない。
恐らくは背景にある人生経験の相違が大きく作用していると思われるが、御法川もも代先生はかつて庵主の問いに応えて「山雷頤」を挙げられたことがあったし、どなただったか失念してしまったものの、天沢履を挙げられた先生も居た。
広瀬宏道先生は「風雷益」を挙げられたと記憶するが、先生の如き捻くれた隠遁者の好きな卦が「風雷益」とは俄かには信じがたいから、或いはあれは庵主を煙に巻く為の狂言だったような気がせぬでもない。
しからばお前の一番好きな卦は何かと尋ねられたら、些か返答に窮する。
10年前なら迷うことなく地山謙を挙げていたのだが、最近は特に強い執着を感じる卦がなくなってしまっていて、敢えて言えば无妄か遯か明夷あたりかとも思うけれど、並べてみて何れも不景気な卦ばかりであるのは自分の貧乏性の反映のようにも思われて、少々悲しい。
第三巻の謙卦解説において、氏は自身の好む所の易卦の変遷について順に述べておられるが、この講義の時点では「謙の卦が一番好き」だとしておられる。
そして最初に一番執着した卦が坎為水、その次に守り本尊としたのは天雷无妄だという回想が続くのだが、誰しも好きな卦というのがある筈で、キャリアが長ければ其の好みにもおのずと変化が生じるのも当然であろう。
そして、人の好みは十人十色だから、傍から見ると其の卦のどこに惹かれるのかサッパリ判らないような卦を挙げる人も少なくない。
恐らくは背景にある人生経験の相違が大きく作用していると思われるが、御法川もも代先生はかつて庵主の問いに応えて「山雷頤」を挙げられたことがあったし、どなただったか失念してしまったものの、天沢履を挙げられた先生も居た。
広瀬宏道先生は「風雷益」を挙げられたと記憶するが、先生の如き捻くれた隠遁者の好きな卦が「風雷益」とは俄かには信じがたいから、或いはあれは庵主を煙に巻く為の狂言だったような気がせぬでもない。
しからばお前の一番好きな卦は何かと尋ねられたら、些か返答に窮する。
10年前なら迷うことなく地山謙を挙げていたのだが、最近は特に強い執着を感じる卦がなくなってしまっていて、敢えて言えば无妄か遯か明夷あたりかとも思うけれど、並べてみて何れも不景気な卦ばかりであるのは自分の貧乏性の反映のようにも思われて、少々悲しい。
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