未来が予測出来るなら、大金持ちになるのは簡単だ。
占いなどに興味を持ちだした初心者なら、株式投資や競馬競輪に占いが応用出来ないものかと一度くらいは考えるハズである。
勿論、それは初心者に限らない。
真勢中州は、『八木相庭高下論』の序文において
余や、若歳より万古。能く其の窮理の占に通ず。唯、糴糶(米の売り買いのこと)の占に於けるや、窮理の占を為すこと能わず、因りて三十年来・精思刻苦す。と言っているが、この占題に中州が如何に心魂を傾けて取り組んだかが分かる。
そして、中州ほどの名人でさえ、このテーマが如何に困難を極めるものであったかが窺い知れよう。
結論から言って、私は株式投資に易占を用いても大して利益は上がらないだろうと思う。
以前、現代の達人・広瀬宏道先生にも伺ったことがあるが、先生の応えは、「結局は欲との戦いになるのであり、自分も試みたがさして利益は上げられなかった」ということであった。
『易学研究』だったと思うが、塚原栄一先生も似たような体験を発表されていたように思う。
加藤大岳先生の『易学大講座』の第二巻72頁には、
株など非常にむづかしい仕事のやうですし、私は全然その方面の知識がないのです。易を斯ういふことに応用する目的でお習いになる方もあろうかと思ひますが、自分の売買を占つたのでは容易に的占しないのではないかと思います。どうしても、上るとか下るとかいふ自分の見込みが先入観となつて卦の解釈をしてしまうからです。とある。
また、高島嘉右衛門は、相場での勝者の影には必ず不幸な敗者が居り、それは人情に於いて忍ぶべからざる所であるとして、決して相場には手を出さなかったというし、熊崎健翁は「易占は其のような射倖的なものに用いてはならない」という信条から、株の騰落に関する占を謝絶していたという。
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