BAMBOO
- 2022/07/15
- 18:59
最近は御手製の蓍策による立卦が主である為、筮竹の出番は皆無なのだが、手元には昔木藤謙さんより恵与された紀藤先生旧蔵の筮竹が三セットある(一つは煤竹風)。
『易学研究』昭和47年9月号冒頭の加藤大岳氏の随想「木・一日長ぜざれば則ち枯る」に紀元書房製筮竹の制作工程について詳しく書かれてあって、竹細工などに興味のない私のような人種にも中々面白く感じられる読み物であった。
竹など何時伐っても良いものだと思っていたけれど、それによると五月から八月までは竹の成長期間につき伐ってはならないそうだ。
筍から若竹に成長する期間は、それに補給するために親竹には栄養分が充満して居り、その期間に伐った竹で作った竹製品は、すぐに虫が入って駄目になるという。
虫食いの竹というのを見たことが無いので、虫害を受けない素材だと漠然と思い込んでいたけれど、どうやらそうでもないらしく、伐り時は成長が一段落した九月頃からになるそうだ。
また、紀元書房製は山口県の山間部で生産されたものを、産地に設備された鉛筆削りのような構造の機械で加工した後、今度は新式の乾燥設備を持つ熊本に移送して加工を加え、再度山口に送って最終仕上げを行っていたらしい。
採取地で一から十まで全ての行程を終えるというような単純なものでもないらしく、このような分業体制が出来ていることを面白く思った。
ところで、竹と言えば福井県に越前竹人形という名産品があって、水上勉氏の小説により能く知られているが、あの舞台となった場所こそ、庵主の母方の郷里である。
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