『四庫提要訳注』土曜談話会編
- 2022/11/04
- 18:04
『四庫提要訳注』土曜談話会編(1966~1967)
先日遅ればせながら、土曜談話会編『四庫提要訳注』を古書で購入した。
これまで地元の図書館へ足を運んで館内の端末で閲覧するしかなかった国会図書館のデジタル化資料が幸い個人送信扱いになってくれたので、或いは此の本も閲覧出来るようになったのではと検索をかけてみたところ、そもそも国会図書館にさえ架蔵されていないことを知らずに居た自分に愕然とした(公立では宮城県立と東京都立のみが所蔵)。
『四庫全書総目提要』は、清朝乾隆帝の勅命によって作られた史上最大の解題目録であり、支那の古典を研究対象にしようとする者にとっては必要欠くべからざる書物であるが(もっとも狩野直喜は此の書物に漢学系の著述をほめ、宋学系のものをけなすという偏りのあることを指摘している)、なにぶん全200巻という規模の大きさの為に、ずっと邦訳が現れずに居る。
幸い、京大人文研の全國漢籍データベース 四庫提要の御蔭で、我々は自宅に居ながらにしてビタイチモン払わずに内容を覗き見ることが出来るものの、私程度の学力ではこれらをスラスラ読み通すという訳には行かぬから、矢張ここは気軽に斜め読みして時間を潰せるような訳書が是非とも欲しいところだろう。
もっとも、抄訳は早くに出ていて、それが土曜談話会編『四庫提要訳注』なのだが、以前はもっと古書価が高かった(というか古書市場に滅多に出回らなかった)記憶があるものの、フト思い立って調べてみると、6000円という格安の出物があったので、久しぶりに通販で古書を購入することにした(不思議とコロナ禍以降、古書を余り買わなくなった)。
謄写版で御世辞にも豪華とは言いかねる装丁だが、それもまた稀覯書という感じがして悪くない。
ただ、何分抄訳で私が読みたいような書物の箇所は悉く訳出されておらず、其の点では甚だ物足りないというか、ガッカリしたというのが正直な感想ではあるのだけれども。
今、日本の古本屋を覗いてみると、4冊揃いのものが私が購入したのと同じ6000円で出ており、しかも長らく誰も手を付けぬままになっている。
本が売れない時代になったと言われて久しいけれど、かかるかつての稀覯書も此の有様なのが、今更ながらに悲しい。
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