小象のこと
- 2022/11/16
- 18:27
全釈漢文大系『易経上』(鈴木由次郎訳注)の解説篇19頁に小象について示唆に富む箇所があるので、該当箇所を引用させて頂くことにする。
大象と小象を合わせたものを象伝と呼ぶのは唐の孔穎達の『周易正義』以来の通説である。
しかし、小象は大象よりはむしろ彖伝と類型が同じである。彖伝は卦辞を解釈したものであり、小象は爻辞を解釈したものである。
そして、ともに押韻している。
これを彖伝ということばから考えてみると、繋辞伝には彖と爻とが対称的に説かれていることが多く、彖辞は卦につけた辞をいい、爻は爻につけた辞をいうのである。
しかし、爻辞のことを古くは彖辞ともいったらしいことは、繋辞伝に見える「知者其の彖辞を観れば、思ひ半ばに過ぎん」という句に、後漢の鄭玄たちは「彖辞は爻辞のことである」と注している(『経典釈文』)。
これによって古くは卦辞と爻辞とを通じて彖辞と称したことが分る。
これによると、爻辞を解釈した小象は彖辞といっても差し支えないことになる。
象伝という名称は象によって卦の構成を説いた大象がこれに該当するのであって、爻辞を解釈した小象はむしろ彖伝に合すべきものである。
中井履軒も「その体裁からみて小象は彖伝にくっつけるべきもので、大象にくっつけるべきものではない」(周易逢原)といっている。
卑見によれば、大象が象によって卦の構成を説き、かつ儒家の道徳的教訓を説いているので、大象を特に卦辞を解釈した彖伝のあとに置いたため、元、彖伝と一類であるところの小象が大象のあとに置かれて、大象とともに象伝と呼ばれるようになったのではないかと考えるのである。
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大象と小象を合わせたものを象伝と呼ぶのは唐の孔穎達の『周易正義』以来の通説である。
しかし、小象は大象よりはむしろ彖伝と類型が同じである。彖伝は卦辞を解釈したものであり、小象は爻辞を解釈したものである。
そして、ともに押韻している。
これを彖伝ということばから考えてみると、繋辞伝には彖と爻とが対称的に説かれていることが多く、彖辞は卦につけた辞をいい、爻は爻につけた辞をいうのである。
しかし、爻辞のことを古くは彖辞ともいったらしいことは、繋辞伝に見える「知者其の彖辞を観れば、思ひ半ばに過ぎん」という句に、後漢の鄭玄たちは「彖辞は爻辞のことである」と注している(『経典釈文』)。
これによって古くは卦辞と爻辞とを通じて彖辞と称したことが分る。
これによると、爻辞を解釈した小象は彖辞といっても差し支えないことになる。
象伝という名称は象によって卦の構成を説いた大象がこれに該当するのであって、爻辞を解釈した小象はむしろ彖伝に合すべきものである。
中井履軒も「その体裁からみて小象は彖伝にくっつけるべきもので、大象にくっつけるべきものではない」(周易逢原)といっている。
卑見によれば、大象が象によって卦の構成を説き、かつ儒家の道徳的教訓を説いているので、大象を特に卦辞を解釈した彖伝のあとに置いたため、元、彖伝と一類であるところの小象が大象のあとに置かれて、大象とともに象伝と呼ばれるようになったのではないかと考えるのである。
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