白芷を求めて~生薬探偵の冒険~
- 2022/12/22
- 18:12
振り返れば、ミシマサイコやミクリ、ナツトウダイなど自生種に辿り着く道程の長く険しかった思い出と共に想起される薬用植物は幾つもあるけれど、現在の局方が白芷の基原として記載するセリ科ヨロイグサなども其の範疇で、今年になってようやく出会うことが出来た。
同名異品の多い生薬で、河北省の一部で白芷に当てているというハナウドは9年前に北河内で割合楽に見付けることが出来たが、ヨロイグサのほうは山陰山陽の自生地を中心に数箇所探索を試みるも、水害で産地ごと流されていたり、ようやく発見したと思えば猛暑で悲惨な姿を晒していたりで、マトモな被写体に巡り合うのには今年の夏を待たねばならなかった。
比較的最近になって報告された産地で、希少種にも拘らず、川沿いにかなりの規模で群落を形成しているのは圧巻と言う他ない。
夏場のしかも正午過ぎに現地入りした為、撮影には中々厳しいコンディションであった上、風に煽られて被写体が逃げ惑うのには閉口させられたが、10枚に1枚くらいは何とか見られぬでもない写真を撮影出来たように思う。
正直、図鑑やweb上の写真を見る限りではシシウドによく似ていて見分けがつくかしらと不安もあったが、実際には遠目で見た感じも明らかに違うし、葉の形も異なる。
今では激レア種であるが、『植物研究雑誌』64 巻3号 (1989) に載った山崎敬氏の「日本におけるヨロイグサ,エゾノヨロイグサ,シシウドについて」によると、明治から大正の初めにかけて品川、渋谷、大塚、早稲田で採集された標本が各地の大学や博物館に収蔵されており、100年ほど前には東京各地で見ることが出来たらしい。
ただし、庵主が今回訪れた土浦のものを含め、かつて採取された東京近郊の個体も野生種なのか薬用に栽培されたものの逸出なのかは微妙なところがあるようで、我が国の確実な野生地は中国地方・九州北部とのことである。
同名異品の多い生薬で、河北省の一部で白芷に当てているというハナウドは9年前に北河内で割合楽に見付けることが出来たが、ヨロイグサのほうは山陰山陽の自生地を中心に数箇所探索を試みるも、水害で産地ごと流されていたり、ようやく発見したと思えば猛暑で悲惨な姿を晒していたりで、マトモな被写体に巡り合うのには今年の夏を待たねばならなかった。
ヨロイグサ(2022年7月27日/茨城県土浦市)
比較的最近になって報告された産地で、希少種にも拘らず、川沿いにかなりの規模で群落を形成しているのは圧巻と言う他ない。
夏場のしかも正午過ぎに現地入りした為、撮影には中々厳しいコンディションであった上、風に煽られて被写体が逃げ惑うのには閉口させられたが、10枚に1枚くらいは何とか見られぬでもない写真を撮影出来たように思う。
正直、図鑑やweb上の写真を見る限りではシシウドによく似ていて見分けがつくかしらと不安もあったが、実際には遠目で見た感じも明らかに違うし、葉の形も異なる。
茎も矢鱈太くて迫力があり、流石にオオシシウドの別名も伊達ではないようだ。
今では激レア種であるが、『植物研究雑誌』64 巻3号 (1989) に載った山崎敬氏の「日本におけるヨロイグサ,エゾノヨロイグサ,シシウドについて」によると、明治から大正の初めにかけて品川、渋谷、大塚、早稲田で採集された標本が各地の大学や博物館に収蔵されており、100年ほど前には東京各地で見ることが出来たらしい。
ただし、庵主が今回訪れた土浦のものを含め、かつて採取された東京近郊の個体も野生種なのか薬用に栽培されたものの逸出なのかは微妙なところがあるようで、我が国の確実な野生地は中国地方・九州北部とのことである。
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