爻卦算木の発案者
- 2023/01/16
- 18:04
易占で用いる算木には、大きく分けて三種類あり、即ち陰画陽画のみを表すところの一般的な両象算木、陰画陽画に加えて老陽と老陰を示す「-」と「×」が刻まれた本筮用の四象算木、両端に爻卦の刻まれた中筮用爻卦算木の三種である(算木のことを松井羅州は像卦と呼んでおり、「世俗コレヲ卦木、或ハ算木ト呼ブ、コレモ亦不敬卑陋ノ称呼タリ」として、算木や卦木などという呼び方は怪しからぬとしているが、ここでは一般的な名称である算木を用いることとする)。
私自身は大衍筮法に特化した四象算木は所持しておらず、実占に際しては三変筮なら両象算木、中筮ないし本筮によって揲蓍する時は爻卦算木と四象算木のハイブリッド型を用いている。
オンライン講座の受講者諸氏大半には折に触れ蓍策を進呈して来たので、「そろそろ算木を」という方も出て来たようだ。
筮筒は昨今粗悪な作りのものしか出回っていないようだが、算木に関しては未だ新品でマトモなものが買えぬこともないようなので、可能なら実物を占具店で手に取り、御自身の手に馴染みそうなものを求められるのが良いと思う。
ところで、先日受講者の方より、爻卦算木は加藤大岳氏の考案せしところのものや否やとの御尋ねを受けた。
別段算木の歴史を研究したことはないが、これに関しては取り敢えず「否」と御答えして良いようだ。
以下に其の根拠を述べて置くことにする。
加藤大岳氏が爻卦算木についての製造上の特許を有していたことは、かつて『易学研究』誌上にて読んだことがあるが、特許を出願する者が実際の発案者であるとは限らず、氏に関しては粗悪なものが出回るのを防ぐ為の措置ではなかったかと推察する。
しかし、実際に爻卦算木を有名にしたのは氏であろう。
また、自身でも述べているように八面賽と六面賽にて立卦する方法を普及させたのも同氏であるが、この方法は先に高島徳右衛門や九鬼盛隆が用いているので発案者でないことは確実で、氏は敢えて言えば普及者とでも評するのが適切であるに違いない。
爻卦算木が氏の発案でない論拠として此処に挙げるのは以前にも御紹介した今東光氏の「筮具抄」で、写真付きで爻卦算木が紹介されているが、いずれも加藤大岳氏が発案であるとの記述はなく、また「筮具抄」が書かれたのは1940年で、当時加藤大岳氏はまだ33歳である。
仮に加藤大岳氏が爻卦算木の発案者であるとすると、相当若年の頃に考案していることになるし、出来立てホヤホヤのものが「筮具抄」に取り上げられたことになるが、そうすれば猶のこと、大岳発案たることが今氏の文に記載されていなくてはおかしい筈。
大体、爻卦算木などという物は中筮使いなら誰にでも思いつく至極単純な構造であり、或いは中州の存命時には既にあったのではないかという気さえする。
羅州の本には算木とは別に爻卦を表示するルービックキューブ状の占具が出ているが、あのようなものは虚仮威しには効力を発揮しても、街占(真勢は本来街占家である)においては甚だ持ち運びに不便を生ずるだけのものだろう。
また、以前ヤフオクに出た珍しい算木類の中にも小成卦画を用いた爻卦算木が含まれているが、他の筮具との兼ね合いから見て、そんなに新しいものとは私には思われない。
上記の理由で、爻卦算木は加藤大岳氏の発案ではないと私は見る。
私自身は大衍筮法に特化した四象算木は所持しておらず、実占に際しては三変筮なら両象算木、中筮ないし本筮によって揲蓍する時は爻卦算木と四象算木のハイブリッド型を用いている。
オンライン講座の受講者諸氏大半には折に触れ蓍策を進呈して来たので、「そろそろ算木を」という方も出て来たようだ。
筮筒は昨今粗悪な作りのものしか出回っていないようだが、算木に関しては未だ新品でマトモなものが買えぬこともないようなので、可能なら実物を占具店で手に取り、御自身の手に馴染みそうなものを求められるのが良いと思う。
ところで、先日受講者の方より、爻卦算木は加藤大岳氏の考案せしところのものや否やとの御尋ねを受けた。
別段算木の歴史を研究したことはないが、これに関しては取り敢えず「否」と御答えして良いようだ。
以下に其の根拠を述べて置くことにする。
加藤大岳氏が爻卦算木についての製造上の特許を有していたことは、かつて『易学研究』誌上にて読んだことがあるが、特許を出願する者が実際の発案者であるとは限らず、氏に関しては粗悪なものが出回るのを防ぐ為の措置ではなかったかと推察する。
しかし、実際に爻卦算木を有名にしたのは氏であろう。
また、自身でも述べているように八面賽と六面賽にて立卦する方法を普及させたのも同氏であるが、この方法は先に高島徳右衛門や九鬼盛隆が用いているので発案者でないことは確実で、氏は敢えて言えば普及者とでも評するのが適切であるに違いない。
爻卦算木が氏の発案でない論拠として此処に挙げるのは以前にも御紹介した今東光氏の「筮具抄」で、写真付きで爻卦算木が紹介されているが、いずれも加藤大岳氏が発案であるとの記述はなく、また「筮具抄」が書かれたのは1940年で、当時加藤大岳氏はまだ33歳である。
仮に加藤大岳氏が爻卦算木の発案者であるとすると、相当若年の頃に考案していることになるし、出来立てホヤホヤのものが「筮具抄」に取り上げられたことになるが、そうすれば猶のこと、大岳発案たることが今氏の文に記載されていなくてはおかしい筈。
大体、爻卦算木などという物は中筮使いなら誰にでも思いつく至極単純な構造であり、或いは中州の存命時には既にあったのではないかという気さえする。
羅州の本には算木とは別に爻卦を表示するルービックキューブ状の占具が出ているが、あのようなものは虚仮威しには効力を発揮しても、街占(真勢は本来街占家である)においては甚だ持ち運びに不便を生ずるだけのものだろう。
また、以前ヤフオクに出た珍しい算木類の中にも小成卦画を用いた爻卦算木が含まれているが、他の筮具との兼ね合いから見て、そんなに新しいものとは私には思われない。
上記の理由で、爻卦算木は加藤大岳氏の発案ではないと私は見る。
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