麻野勝稔先生の長逝を悼む。
- 2023/04/01
- 18:00
先日、木藤謙さんよりメールで麻野勝稔先生の御逝去を知らせて頂いた。
1月31日のことで、享年94歳という。
先生は昭和30年頃に尚聖館に入門されているので、天台易学塾時代の入門者を第一世代とすれば、第二世代ということになろうか。
四半世紀を越えて紀藤先生に師事した人はそう多くなかったらしく、広瀬宏道先生よりも門人としてのキャリアはずっと長かったようである。
もともと公立中学校で数学を教えておられて、進路指導か何かで生徒を連れて紀藤先生の鑑定を乞われたのが入門のきっかけだというようなことを以前聞かせて頂いたが、今ならちょっとあり得ない話だろう。
教職にあった先生にとって、生徒の不登校や遠足時の乗り物酔い等は悩みの種であったらしく、易占の他に紀藤流の催眠術にも熱心に取り組まれて、此の分野では唯一の継承者であられた。
もっとも、かなり実験を試みたものの、不登校は要因が複雑らしく、期待した程の成果は上がらなかったということである。
ただし、乗り物酔いには効果覿面だったそうだ。
先生の御逝去により、これで紀藤流催眠術は失伝した訳で、今にして思えば一度体験しておけば良かったとも思うが、生憎乗り物酔いには滅法強くて、体験する口実を持ち合わせていなかったのが悔やまれる。
先生は御若い頃から喘息持ちで、身体頑健には程遠かったと聞くが、養生に努められた成果か、昨今の男性の平均寿命を遥かに上回って天寿を全うされた。
私が供養塔護持会で初めてお目に掛かった十数年前には既に脊柱管狭窄症を患われて歩行に不自由されていたが、90歳を迎えられてからも府下屈指の某進学校に非常勤として勤務されていたのは昭和一桁の凄みをマザマザと見せつけて余りある。
コロナ禍のせいで庵主も三年ほど足が遠のいてしまい、最後にお目に掛かる機会を逸したのは残念であったが、今残された先生の占例を纏めて読み返しつつ、その名人芸に驚嘆している。
恐らく70年近い歳月に渡って四遍筮を使い続けたという占筮家は先生を置いて他にない。
既に紀藤師の四遍筮歴を遥かに上回る研鑽を積み重ねておられるのである。
『易学研究』平成2年12月号に載った北方領土の占も忘れがたいが、平成に入ってからの『易学研究』誌は比較的入手が容易であるし、ここは中々手に入らない『実占研究』の古い巻号(昭和38年6月号)から目に付いたものをお目にかけよう。
吉展ちゃん事件と言えば、昭和の最も有名な誘拐事件の一つであるが、先生の扱った占題には時事占も多く、時系列で読めば一つの戦後史としても中々面白く読むことが出来る。
1月31日のことで、享年94歳という。
先生は昭和30年頃に尚聖館に入門されているので、天台易学塾時代の入門者を第一世代とすれば、第二世代ということになろうか。
四半世紀を越えて紀藤先生に師事した人はそう多くなかったらしく、広瀬宏道先生よりも門人としてのキャリアはずっと長かったようである。
もともと公立中学校で数学を教えておられて、進路指導か何かで生徒を連れて紀藤先生の鑑定を乞われたのが入門のきっかけだというようなことを以前聞かせて頂いたが、今ならちょっとあり得ない話だろう。
教職にあった先生にとって、生徒の不登校や遠足時の乗り物酔い等は悩みの種であったらしく、易占の他に紀藤流の催眠術にも熱心に取り組まれて、此の分野では唯一の継承者であられた。
61年前の『催眠術講義』はお二人の共著の形を取っている。
もっとも、かなり実験を試みたものの、不登校は要因が複雑らしく、期待した程の成果は上がらなかったということである。
ただし、乗り物酔いには効果覿面だったそうだ。
先生の御逝去により、これで紀藤流催眠術は失伝した訳で、今にして思えば一度体験しておけば良かったとも思うが、生憎乗り物酔いには滅法強くて、体験する口実を持ち合わせていなかったのが悔やまれる。
紀藤先生の右隣が麻野先生
先生は御若い頃から喘息持ちで、身体頑健には程遠かったと聞くが、養生に努められた成果か、昨今の男性の平均寿命を遥かに上回って天寿を全うされた。
私が供養塔護持会で初めてお目に掛かった十数年前には既に脊柱管狭窄症を患われて歩行に不自由されていたが、90歳を迎えられてからも府下屈指の某進学校に非常勤として勤務されていたのは昭和一桁の凄みをマザマザと見せつけて余りある。
コロナ禍のせいで庵主も三年ほど足が遠のいてしまい、最後にお目に掛かる機会を逸したのは残念であったが、今残された先生の占例を纏めて読み返しつつ、その名人芸に驚嘆している。
恐らく70年近い歳月に渡って四遍筮を使い続けたという占筮家は先生を置いて他にない。
既に紀藤師の四遍筮歴を遥かに上回る研鑽を積み重ねておられるのである。
『易学研究』平成2年12月号に載った北方領土の占も忘れがたいが、平成に入ってからの『易学研究』誌は比較的入手が容易であるし、ここは中々手に入らない『実占研究』の古い巻号(昭和38年6月号)から目に付いたものをお目にかけよう。
クリックすると拡大
吉展ちゃん事件と言えば、昭和の最も有名な誘拐事件の一つであるが、先生の扱った占題には時事占も多く、時系列で読めば一つの戦後史としても中々面白く読むことが出来る。
スポンサーサイト