『日本漢籍受容史』高田宗平編
- 2023/04/12
- 18:48
『日本漢籍受容史』高田宗平編(八木書店/2022年刊)
世界に誇る日本文化も結局は中国の周辺文化の一つであって、その歴史は謂わば中国文化の、もっと謂えば漢籍の受容史と言い換えても良い側面を持っている。
昨秋出た『日本漢籍受容史』は、その辺りを通覧するのに打って付けの書物であるようだ。
それぞれの篇を第一線で活躍する優れた研究者が担当しており、最先端の研究成果が反映されていて、信頼度も高い。
個人的には第二部五章の清原家の論語解釈を興味深く拝読したが、我々易学徒としては何と言っても続く「中世日本の易神の形成とその後」が本書中の白眉である。
青木良仁先生と掃苔を共にし出した初期、偶然立ち寄った鳥辺山の某日蓮宗寺院境内の亀甲石をきっかけに鎮宅霊符神巡りをしたことがあったが、当時はそれが易に繋がる等とは思いもよらなかった。
しかし、今にしても思えば、独特な霊感を駆使する青木先生があの亀甲石に引き寄せられたのも、或る種の伏線であったような気さえしてくる。
編者の高田宗平先生とは以前は京大の研究会で時折顔を合わせたが、近頃は足が遠のいてしまったこともあり、長らくお目に掛かっていない。
其の筋では只ならぬ女子力の高さで知られる先生に一度オシャレなカフェにでも連れて行ってもらおうと思いつつ、もう何年も経ってしまった。
なお、本書の題字は同じく以前は時折お目に掛かる機会のあった大阪府立大学名誉教授の大形徹先生だそうで、篆刻をなさることは耳にしていたけれど、揮毫を依頼されるほどの書の達人であるというのは存じ上げなかったが、よく考えれば字の下手な人間に篆刻など出来る筈もない。
そういえば、先生は白川静記念東洋文字文化研究所の副所長もされているのだが、文字の学問をやっている人は全員達筆なのだろうかという素人の素朴な疑問を今度専門家にぶつけてみようと思う。
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