亀筮筒のこと
- 2023/09/22
- 18:17
「筮具抄」より
今東光「筮具抄」には今氏所蔵の亀筮筒二種が写真入りで掲載されており、右は木工で、今氏は京都辺りの宮大工の作であろうと推測されている。
左は正直線香立てのようにも見えて、これが本当に筮筒として製作されたものかどうか、私にはやや不審を感ずる点がないでもないのだが、今氏によると、清朝末期の青磁であるという。
ミュンヘン五大陸博物館所蔵の亀筮筒は、私見では江戸後期に作られたものではないかと思うが、細部に渡って作り込んである大変立派なものである。
かかる仕様が何時の頃からあるものか、詳らかではないのだが、林羅山(1583~1657)の文集に、寛永六年(1629)の十二月に名古屋城を訪れた際のことが出ていて、孔子堂の中を描写した箇所に「机上に筮筒ありて亀背の上に卓てり」 とあるところからすれば、少なくとも江戸時代の早い時期には存在した仕様らしい。
十年ほど前にはネットオークションでも、亀筮筒の古物を時折見かけたが、不思議と最近は出物がないようだ。
高価だったので購入しなかったものの、今にして思えば史料として一つくらい所蔵しておいても良かったような気がする。
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