懐かしの高尾
- 2013/10/27
- 19:51
平井呈一先生
岳易忌の前日、一夜の宿を提供してくれたあきるの市在住のH君は蒼流庵主人の古い友人であり、かの平井呈一先生(1902~1976)の曾孫に当たる。
面白い縁であるが、平井先生も佐藤春夫門下であり、翌日に墓参した加藤大岳先生とは兄弟弟子の間柄なのである。
平井呈一といっても、易や漢方の世界では知らない人が多かろう。
佐藤春夫と永井荷風の弟子で、俳句を河東碧梧桐に学んだ平井先生は、今でいえば大江健三郎と村上春樹の弟子で、俳句を飯田龍太に学ぶ・・・といった感じになるのか、いやはや大変なものである。
門下には紀田順一郎(1935~)や荒俣宏(1947~)らがいる。
最も有名な仕事は小泉八雲の翻訳で、今でも『怪談』や『心』などを岩波文庫で読むことが出来るが、他にも優れた訳業が少なくなく、ブラムストーカーの『ドラキュラ』レ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』(ともに創元推理文庫)、エラリークイーン『Yの悲劇』ヴァンダイン『僧正殺人事件』(ともに講談社文庫絶版)など、平井訳とは知らずに読んでいる人も多いだろうと思う。
ところで加藤大岳先生を心の師と仰ぐ若き易占家諸氏の中には加藤先生の墓参をしたい方も少なからずおられるに違いないが、蒼流庵主人は加藤家とは何の関り合いもない為、その墓所の詳細をここに書くことは憚られる。
そこで、ヒントとして下の記念碑をご紹介しておこうと思う。
これは1981年に建立された記念碑で、日本共産党の三賢人(徳田球一、市川正一、渡辺政之輔)を筆頭に、日本の革命の歴史上の英雄たちを祀ったものである。
私は英雄などという大衆が仰ぎ見る胡散臭い存在にも嫌悪感を覚えるし、共産主義運動にも関心はないけれど、この記念碑をご紹介するのは、すぐ近くに加藤家の墓所があるからである。
ちなみに建立者は、日本共産党とは何の関係もない、日本共産党(行動派)という組織で、ガチな共産主義者の集まりらしい。
しかし、この記念碑、つまらぬ先入観を捨て去ってよくよく眺めてみると中々に迫力があって、ハカマイラーの心の琴線に不思議と触れるものがある。
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