私は以前、医学古典蔵書の整理&目録作りを一週間だけバイトでしたことがあるのだが、この一週間は何物にも代えがたい経験であった。
買ったまま付いている値札で当時の古書価も分かるし、何よりどのような古典があるのか広く見渡すことが出来た。
傷寒論の注釈書から名も無き医家の私家版まで、先人の学問の成果に触れる実感を得たのは、この時が最初であったように思う。
私のような貧乏学徒には原書を揃えるような財力は無いし、保管の大変な和本を沢山持ちたいともあまり思わないけれど、文明の利器のお陰で、自宅に居ながらにして、それらの極めて貴重な資料を閲覧出来るのは、実に有難いことだ。
これは早稲田大学が無償で公開しているもので、PDFとJPEGでダウンロードすることが出来る。
写真も綺麗だし、私はこのサイトを利用することが多い。
特に本腰を入れて取り組みたい場合は、色調を処理して印刷して読んでいる。
江戸時代の和本が中心で、漢方の古典籍が充実している。
医史学の大家であった
富士川游博士(1865~1940)の蔵書で、現在は京都大学が所蔵している。
日本の古医書のほとんどが収められているが、やや読みにくいのが難点で、PDFでダウンロード出来る早稲田のデータベースと違って一枚一枚JPEGで落とさなければならないので面倒なことこの上ない。
彦根藩医だった河村家から滋賀医科大学に寄贈された河村文庫も、読みやすい綺麗な写真で公開されている。
量はそれほど多くないが、前の二者で公開されていない貴重書もあるので、有難く活用させてもらっている。
こちらも数は少ないが、ここでしか閲覧できない書籍もある九州大学のデータベース。
千葉大学附属図書館が所蔵する古医書コレクションの中から、一部を電子化して公開している。
数も少ないし、ダウンロードが出来ないようなので、ほとんど利用したことはない。
こちらは中国のサイトで、日本ではあまり見かけない古典も掲載されていて、中医学を学んでいる方には便利かもしれない。
画像資料ではないので、反って検索に便利な場合もある。
国会図書館の近代デジタルライブラリーは、医書はあまり収められていないが、易学関連書(特に真勢中州の本が多い)や、明治大正の民間療法、人相術についての書籍が充実している。
ただし、ダウンロードはかなり面倒くさい。
全体に明治以後の本が多いようだ。
こちらも中国のサイトで、中国の様々な古典籍がずらりとアップされている。
四書五経など易学周辺の古典を調べる際によく活用している。
他にも貴重な中文書がPDFで落とし放題の「爱问共享资料」や松井羅州の貴重書がアップされていた大阪府立図書館のデータベースなども重宝していたのだが、現在は残念ながら閉鎖されてしまったようだ。
スポンサーサイト