伝統医療文化国際シンポジウム 2015
- 2015/02/23
- 18:45
奈良場先生から御案内のメールを頂き、京都大学で開催される国際シンポジウムに参加して来た。
現在、京都大学総合博物館では“医は意なり”と題した企画展を開催中で、まずはそちらを見に行く。
同博物館は昨年11月にも鉱物展を見に出向いたが、常設展を覗いてみると結構内容が変わっていて驚いた。
企画展はそれほど伝統医学に重きを置いている訳ではないようで、私には少々物足りなかったが、一般の方にはこれくらいがちょうど良い内容なのだろう。
シンポジウムのプレイベントとして、京都大学人文科学研究所教授である武田時昌先生の講演があったので、少し早めに会場入りしたが、一番乗りしていたのは、医史学の大家・小曽戸洋先生であった。
小心者につきお声掛けは出来ず。
武田先生は午後のシンポジウムの内容と被らないよう話題を選びながら、『医心方』を中心に一般参加者にも分かりやすくお話になった。
会場には、先ごろ冬虫夏草の名著を出された奥沢康正先生も来られており、少しだけ御挨拶することが出来たのは、思わぬ収穫であった。
一番の収穫だったのは、上掲の『京-醫と毉-史跡探訪』で、今年の第29回日本医学会総会に合わせて京都府医師会が刊行した記念冊子なのだが、京都にゆかりのある医家や医史跡を簡潔に纏めた実に有難い資料となっている。
紙質も良いし、頁数は90ページもあるから、これで電車賃1500円と博物館の入館料くらいは十分に元が取れただろう。
内容はこんな感じ
午後の部まで一時間半ほどあったので、出町柳方面へ引き返して軽く昼食を済ませ、今度は博物館ではなく、人文科学研究所本館へ向かう。
シンポジウムの開催される4階に向かうエレベーターの中で乗り合わせた只ならぬ富裕層オーラを放つ老婦人、よく見ると順天堂大学名誉教授の酒井シヅ先生ではないか!
マエストロ酒井は、最近では「JIN-仁-」の医学考証を手掛けられている。
つい先日もDVDで二回目の観賞を終えたばかりの蒼流庵主人であるが、この時も小心者につきお声掛けは出来ず、エレベーターの隅で縮こまるのみ。
ホジュンとイジェマの肖像を紹介する韓国の研究者
“東アジア伝統医学の源流”と題した小曽戸先生の講演に始まり、日本からは真柳誠先生、韓国側からは3名の発表があった。
韓国の先生方は、ホジュンの『東医宝鑑』が2009年に世界記録遺産に登録されるに当たって尽力された方々だそうで、今回のシンポジウムもこれをきっかけに『医心方』を世界記録遺産に登録しようという機運を作りたい武田先生の意向が強く働いたものらしい。
試みに「10年以内に『医心方』が世界記録遺産に登録されるか」を筮して、山水蒙の二爻を得た。
山水蒙は、新井白蛾の象意考に「巖險雲烟の象」とあり、険しい高山前に在りて雲の如く烟の如く分明ならざる象であって、はなはだ景気は宜しくないのだが、得爻である二爻の辞は中々に吉意が強い。
この蒙は文字通り“啓蒙”の蒙と取って差支えないだろう。
啓蒙活動を徹底することで、10年以内の世界記録遺産登録もあながち不可能ではないと見たい。
爻辞に「子、家を克(よ)くす」とあるが、長らく『医心方』を秘蔵して来た半井氏の子孫が現在気象予報士として活躍されており、最近、『医心方』に関心を持たれて、色々勉強しておられると聞く。
この半井さんがPRに貢献してくれるのではないだろうか。
二爻は啓蒙する側の主爻であるし、応期を五爻の時とすれば、3年はさすがに無理だろうから、一爻を2年と見て、6年後或いは外卦艮の数7を取って、6~7年後に運動が実を結ぶと見たいと思う。
ただし、内卦坎の主爻でもある訳だから、そう易々とは事は運ぶまい。
閉会後の懇親会も参加したかったのだが、家庭の事情はそれを許さず、不参加を表明せざるを得なかったのは残念無念。
なお、聴講中に近年奥田謙蔵研究で大きな成果を上げられている松岡尚則先生が隣席に居られるのを途中で知ったのだが、案の定チキンハートゆえ名刺交換も出来ず、失礼してしまった。
次回参加する時は、鋼のハートに鍛えなおしておきたいところだ。
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