『漢方医学大辞典2~薬方篇~』
- 2015/03/23
- 18:25
『漢方医学大辞典2~薬方篇~』(雄渾社/1983年刊)
漢方の学習も製薬会社が主催する低レベルなものから脱却して本格的に学ぼうと思うと、必要な資料が本棚を占領し出すのは避けがたい。
大きな版のものだと、占領軍は床にまで領地を拡げようとしてくるから困ったものだ。
京都の雄渾社といえば、友禅や焼き物に関する豪華な本を多数出版しているところだが、優れた中医学図書の翻訳出版も手掛けている。
価格は見た目以上にゴージャスであり、今回ご紹介する『漢方医学大辞典』も薬物篇薬方篇の2冊合わせて60000円という我が目を疑うような価格設定がなされている。
しかし、古書価になると、この手の専門書には珍しく8000円~15000円台にまで低下しているのが面白い。
薬物篇は使用したことがないが、薬方篇はなかなか便利だ。
だいたい私のような古方派は、『傷寒論』『金匱要略』記載の方剤なら、だいたいどの篇に出てくるか位のことは思い出せるが、仲景方から出てしまうと、途端に分らなくなってしまう。
保険適用されているような方剤なら、『臨床応用 漢方処方解説』や『漢方後世要方解説』(共に矢数道明著)あたりで何とかなるが、現代中医学の書物などを読むと聞いたこともないような薬方が頻繁に出てきて、何が何やら分らないこと屡々である。
そんな時、『漢方医学大辞典2~薬方篇~』は中々役に立つ。
相当ローカルな方剤の記載もあるし、詳細がそれぞれ丁寧に解説されている。
何よりも出典が明記されているのが有難い。
といって私は古方を中心に勉強しているので出番はそれほど多くなく、買値8000円の元を取るにはまだまだ時間がかかりそうだ。
中医師の友人に紹介してあげたら、とても好評らしく、頻繁に使っているようだから、彼女はもう元が取れたのかもしれない。
不満なのは、本書が中文書の訳であり、日本で考案された処方が記載されていない点だ。
どこかその欠点を補う本を出してくれないものだろうか。
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