『黙堂柴田良治処方集』北山進三編(黙堂会/1989年刊)
『黙堂柴田良治処方集』北山進三編も私の好きな一冊だ。
著者の柴田良治先生(1920~1993)は、森田幸門先生(1892~1966)・細野史郎先生(1899~1989)を師として漢方を学ばれた臨床家である。
柴田先生は、江戸時代に袖珍本として広く医家に愛用された『古今方彙』に深く親しまれ、その現代版を目標に編纂されたのが本書ということらしい。
収録されているのは、著者が臨床に用いてきた1018方、異名同方を除いても996方という膨大なものである。
処方名と出典の原文だけでなく、現代医学的観点からの適応症、著者が実際に使用しているグラム分量の他、著者が特に参考とした浅田宗伯の『勿誤薬室方函口訣』および福井楓亭の『方読弁解』の口訣を追記して、臨床家の参考となるよう行き届いた配慮がなされており、中々に実践的な一冊と言えよう。
少々版が大きくて、本棚に入りきらないという難点もあるけれど、日本のオリジナル処方もかなり収録されているから、中文書の辞典で対応出来ない場合も、結構役に立ってくれる。
しかし、東洞の経験方たる排膿散及湯の出典が華岡青洲となっているのはどうしたことだろう?
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