『腹證図解漢方常用処方解説』高山宏世編著
- 2015/03/26
- 21:51
『腹證図解漢方常用処方解説』高山宏世編著(泰晋堂/1988年初版)
高山宏世先生の『腹証図解漢方常用処方解説』は中々便利な本で、密かに袖珍本としている臨床家も少なくないと聞く。
著者は、寺師睦宗先生が主催する三考塾の塾生で、自習用の覚書きに塾で学んだ事柄を書き足して一冊にまとめた謂わば勉強ノートを基に成ったのが本書であるという。
エキス製剤になっていて、かつ保険適用の処方から126の頻用処方を選んで解説しているのだが、原典の読み下しから腹証・脈証、八綱分類や類方鑑別などが一方剤につき見開き一頁に簡潔に纏められており、初中級者には特に有益な一冊であろう。
中国でも『中医方剤病證図解』の題で訳出されているそうだ。
何度も内容を訂正して版を改めているというのも良心的で好感が持てるし、何より価格が安く、ソフトカバーながら紙質が意外に良いのも嬉しい。
ボロボロになるまで使い込みたい一冊だ。
ただ、適応証の鑑別に毎度毎度顔を出す体力の有無云々の記述は、大塚流だから仕方ないのだろうけど、いただけない。
何とも言えない幸の薄そうなイラストがまた良い味を出している。
稲葉文礼(?~1805)の『腹證奇覧』然り、『腹證』の二字を冠する書物には、この手の印象的な挿絵がよくマッチするようだ。
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