『漢方の主張』成川一郎著
- 2015/05/25
- 18:28
『漢方の主張』成川一郎著(健友館/1991年刊)
前回ご紹介した『漢方製剤の偽装』は、インパクトのあるタイトルに加えて、部数が少なかったのか、比較的新しい本の割に古書価も定価の倍以上となっているのだが、個人的には1991年に出た『漢方の主張』の方がずっと良い本のように思う。
頁数もずっと多くて、内容も詳しい。
そもそも、満量処方を論じるに当たって、度量衡の問題は避けて通れないはずだが、『漢方製剤の偽装』ではこの点がほとんど論じられていない反面、本書ではこの問題にも頁が割かれている。
『漢方製剤の偽装』は、正直なところ、なんだか片手落ちな読後感が残ったが、本書の方は中々隙なく出来ているようだ。
成川氏御自身は、湯液の製剤化をテーマとされた方であった訳だが、私はむしろ煎じ藥に拘る漢方家にも是非、本書を紐解いて欲しいと思う。
また、丸剤とか散剤とかの剤形が如何によく考えられた上のものであるかも、成川氏の本を読むとよく分かる。
こういう本が、新本では入手出来ない事も又、日本の漢方界の貧困を物語っているようだ。
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