煎じ薬とエキス製剤
- 2015/06/05
- 18:45
煎じ薬に拘りを持つガチな漢方家には、インスタントな気配漂うエキス製剤は一段低く扱われている。
一方、エキス製剤を中心に投薬する漢方家に言わせれば、そのような態度は所詮漢方家のエゴに過ぎず、エキス製剤には十分な効果があるし、どうしたって高くつく煎じ薬よりも、安価かつ手軽に服用出来る点で、エキス製剤の方が結局は患者の為になるのだと主張する。
果たしてどちらの立場の方が穏当であろうか。
双方譲らないから、この問題は容易に決着を見ないのだが、まずは、煎じ薬・エキス製剤と一口に言ったところで、それこそピンキリであるというところから話を始めなければならない。
怪しい漢方製剤で述べたように、適切な配合がなされているエキス製剤なら、そうでない煎じ薬よりも望ましいことは自明であろう。
それに各生薬の品質の問題もある。
粗悪品の生薬をいくら刻みから煎じたところで、出来てくるのは粗悪な湯液でしかないのだから、一概に煎じ薬であるから、よく効くなどとは言えるはずがない。
もし、同程度の品質であるという前提なら、エキス製剤よりも煎じ薬のほうが効きも良いだろうが、日本の場合は問屋から来る時点で細切れにされており、品質などそう簡単には分からないから困ったものだ(ニセもの大国の中国では鑑別出来るような形を留めていないとそもそも信用されない)。
結局のところ、煎じかエキスかという問題は、それぞれの配合と品質が適切であるという前提が崩れると、同じ土俵では勝負できない。
しかし、たとえ前提条件が同等であった場合でも、私は煎じ薬とエキス製剤はうまく住み分けが出来るものだと思う。
たとえば、風邪を引いた場合、一から煎じて飲むよりも、出来るだけ早くエキス製剤を飲むほうが経過が良好であるという手ごたえを私は得ている。
『傷寒論』を読めばよく分かるが、傷寒に始まる病は病位変化が激しく、煎じる時間さえ惜しいと感じることがままある。
むしろ、体調に異変を感じたら、手軽に飲めるエキス製剤をすぐに飲む方がずっと良いように思う。
そして、その次に煎じ薬を飲むようにすると最も適切な対処が出来るというのが私の実感である。
逆に、変化の乏しい慢性病なら、煎じ薬でじっくり攻めるのが良いだろう。
以上は、煎じ薬とエキス製剤を比較した場合の話であるが、実際にはこんな問題は論じるに足らない。
そもそも、証を適切に捉えられた上でなければ、こんなものは所詮机上の空論でしかない。
処方の選択が誤っていれば、煎じだろうがエキスだろうが、有害無益な生薬資源の無駄遣いでしかないのだから。
一方、エキス製剤を中心に投薬する漢方家に言わせれば、そのような態度は所詮漢方家のエゴに過ぎず、エキス製剤には十分な効果があるし、どうしたって高くつく煎じ薬よりも、安価かつ手軽に服用出来る点で、エキス製剤の方が結局は患者の為になるのだと主張する。
果たしてどちらの立場の方が穏当であろうか。
双方譲らないから、この問題は容易に決着を見ないのだが、まずは、煎じ薬・エキス製剤と一口に言ったところで、それこそピンキリであるというところから話を始めなければならない。
怪しい漢方製剤で述べたように、適切な配合がなされているエキス製剤なら、そうでない煎じ薬よりも望ましいことは自明であろう。
それに各生薬の品質の問題もある。
粗悪品の生薬をいくら刻みから煎じたところで、出来てくるのは粗悪な湯液でしかないのだから、一概に煎じ薬であるから、よく効くなどとは言えるはずがない。
もし、同程度の品質であるという前提なら、エキス製剤よりも煎じ薬のほうが効きも良いだろうが、日本の場合は問屋から来る時点で細切れにされており、品質などそう簡単には分からないから困ったものだ(ニセもの大国の中国では鑑別出来るような形を留めていないとそもそも信用されない)。
結局のところ、煎じかエキスかという問題は、それぞれの配合と品質が適切であるという前提が崩れると、同じ土俵では勝負できない。
しかし、たとえ前提条件が同等であった場合でも、私は煎じ薬とエキス製剤はうまく住み分けが出来るものだと思う。
たとえば、風邪を引いた場合、一から煎じて飲むよりも、出来るだけ早くエキス製剤を飲むほうが経過が良好であるという手ごたえを私は得ている。
『傷寒論』を読めばよく分かるが、傷寒に始まる病は病位変化が激しく、煎じる時間さえ惜しいと感じることがままある。
むしろ、体調に異変を感じたら、手軽に飲めるエキス製剤をすぐに飲む方がずっと良いように思う。
そして、その次に煎じ薬を飲むようにすると最も適切な対処が出来るというのが私の実感である。
逆に、変化の乏しい慢性病なら、煎じ薬でじっくり攻めるのが良いだろう。
以上は、煎じ薬とエキス製剤を比較した場合の話であるが、実際にはこんな問題は論じるに足らない。
そもそも、証を適切に捉えられた上でなければ、こんなものは所詮机上の空論でしかない。
処方の選択が誤っていれば、煎じだろうがエキスだろうが、有害無益な生薬資源の無駄遣いでしかないのだから。
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