『漢字語源辞典』藤堂明保著
- 2015/09/18
- 18:15
『漢字語源辞典』藤堂明保著(学灯社/1964年刊)
1990年代に白川漢字学が大ブームを引き起こすまで、今日ご紹介する『漢字語源辞典』は、先の『漢字の起原』と並ぶ字源辞典の双璧であった。
ちなみに、著者の藤堂明保氏(1915~1985)もアンチ白川の立場である。
本書も加藤辞典と同じく、『説文解字』の説を多く採るものではあるが、字形ではなく、同音の字をおなじ家族に属するものと看做して語源を探るという方法を採用しており、これはカールグレン(1889~1978)の音韻学を発展させたものという。
著者によると、加藤氏の『漢字の起原』も「上古音韻論の知識に欠けているために、ほとんど全巻にわたって納得しかねる説明が見うけられる」というのだが、この分野には私はまるで暗いので、その当否は判断しかねる。
ただ、この著者の文章には東大の教授によく見うけられるイヤラシイ権威主義の臭いが漂っているような気がして、私はこの辞書をあまり用いたことがない。
なお、『黄帝内経』の注解で知られた鍼灸家の柴崎保三氏(1897~1988)は藤堂氏の門下で、その注解は藤堂漢字学による字源詮索を重視したものであったが、私の習った先生は柴崎内経を徹底的に批判しておられたこともあり、やはり私は藤堂辞典を開く気が中々起こらずにいる。
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