『相場占三百八十四爻・明断』紀藤元之介講述

『相場占三百八十四爻・明断』紀藤元之介講述（1953年刊）

今回、木藤会長から恵与された紀藤元之介先生旧蔵品の中でも、もっとも貴重と言えるのが、1953年に20部だけ作製された『相場占三百八十四爻・明断』である。

表題の通り、内容は相場占を扱っているが、先生の手に成るものではなく、先生の講義を門人の大原某氏が筆記したものから版を起こしているようだ。

20部限定という点でも貴重であるが、本書は四遍筮を打ち出される前、白蛾流の三変筮を用いておられた時代の産物という点で、紀藤元之介研究の基礎的資料となるものに思われる。

奥付には「昭和二十八年六月十日」とあり、『四遍筮法』の書名で初めて元之筮法が公にされたのが昭和28年7月であるから、本書はその直前の発行で、まさに白蛾流から紀藤流へと脱却する転換期に当たっていると言えよう。

先生が関西に移住されたのが昭和23年で、春日大社にて神職の方々に易を講じたのが昭和26年、大阪は八尾の天台院で易学講座が始まったのが昭和27年であり、神職相手に相場占の講義はしないだろうから、本書は天台院での講義を元にしたものではなかろうか。

全頁が上掲の如き図表となっており、売方・買方の吉凶が＋－で記されている。

吉凶の程度を単純な二択で表すのは聊か危なっかしいが、これも先生が試行錯誤されていた時代の産物ということで、貴重な資料であろう。

なんと、まえがきには紀藤先生の署名が！