2016年の国内外の大勢について易筮で予測を試みる。
①世界の大勢今年もまた不穏な得卦である。
本卦が昨年と同じく雷火豊であるのは興味深い。
繰り返しになるが、雷火豊は、雑卦伝に「豊は故多きなり」とあって、様々な問題や支障のある意を含む。
昨年の一番大きな事件は11月のパリ同時多発テロ(死者数ではロシア機の墜落の方が多いが、国際的観点からは本テロほどに影響をもたらさなかった)だが、年の前半にも新年早々に17名の死者を出したシャルリーエブド襲撃事件が起こっているし、3月にはチュニジアのバルド国立博物館で死者22名の銃乱射事件が起こっている。
上卦震の主爻に配された坎にも注意を払うべきだが、六五の爻卦たる離も爆弾テロの類を考えるなら注意が必要だろう。
そこから時期を推せば、4月5月辺り、雷火豊を一年と見れば一爻が二カ月になるので7~10月だが、私は通常本卦と之卦とで半年ずつ見ることが多いので、4月5月が危ないのではないかと思う。
大象伝には「君子もって獄を折ち刑を致す」とあり、豊卦は刑罰の意も持っているので、連合国のイスラム国掃討戦に対する報復も激化するのだろうか。
之卦の帰妹も一般に凶意をとることの多い卦だ。
卦辞には「征けば凶。利しきところなし」と、しょっぱなから景気の悪い辞が繋けてある。
どちらかと言えば、本卦の雷火豊の方が不穏に感じるが、之卦もまた油断ならぬ卦で、新井白蛾の象意考では帰妹を「顛倒齟齬の意」としており、この辺りからも掃討戦の困難が予想されよう。
また、よく見れば、本之卦ともに泰卦からの交易生卦と観ることの出来る卦で、どちらも安定の崩れた卦と見做すことも出来る。
嫌な感じだ。
②世界経済の趨勢昨年は世界経済についての個別の占を行わなかった為、上海の株価暴落などを察知出来なかった。
そこで今年は、世界経済全体について立卦してみた。
本卦屯は「生みの苦しみ」を表す卦で、最初苦労する意があるが、実占では単純に“伸び難む”と取ったほうが良いことも多い。
経済はあまり好調とは言えないだろう。
爻卦を見ると、位正しき六二の爻卦に離を配しているのが頼もしいが、それとて内震主爻に坎が配されているのを考えれば、相殺されそうな気配があるし、動爻以外の他の爻卦は共に巽で、あまり期待出来そうにない。
問題は之卦の震為雷である。
屯は上に進んで行こうとする内震が、外坎の険に抑えられる卦であるが、之卦の震為雷はその屯難が解け散じて龍が地上に現れ出でた象とも取ることが出来るからだ。
しかし、震為雷には実体の伴わない意味もあり、新井白蛾は「声有り形無きの意」と言っている。
龍が躍り出でるが如く、ぐいぐい好景気が来て欲しいのだが、そんなうまい話があるだろうか。
もっとも、震為雷は吉意の乏しい反面、強い凶兆を観る卦でもないので、それほど心配する必要はなかろう。
株価の大暴落などがあるならば、もっと宜しくない卦を得るのが普通である。
或いは実体はそれほどでもないが、株価だけは景気良く上昇するといった風になるのかもしれない。
③米国大統領選米国の大統領が誰になるかは、世界の政治経済の大勢に大いに影響を及ぼすので、今年の占題からこのテーマを外すことは出来まい。
実は、この占は昨年夏に取ったものなのだが、辞書の紹介ばかりしているところへ、大統領選の占例をいきなり出すのも唐突なので、年初に回した次第である。
恐らく、ヅラの不動産王と元大統領夫人のオバハンとの対決になるのだろうが、さすがに大統領選らしく得爻がどちらも君位の五爻であるのが面白い。
小畜は、卦辞に「密雲、雨ふらず」とあり、雑卦伝に「小畜は寡きなり」とあって、あまり景気が良くないが、咸のほうも選挙戦に得て吉意を取れる卦かというとそうでもない。
あえて言えば、咸卦は上下全ての爻が応じているのが長所と言えるかもしれないが、やはりあまりパッとしないようだ。
単純に得爻に繋けられた辞から判断して、民主党の風天小畜なのではなかろうか。
小畜は卦象を観れば、一陰五陽卦で、一つの陰爻に他の五つの陽爻が集まるという構造を持っている。
これなど、オバハンにとっては吉卦と言えるかもしれない。
また、咸卦の「女を取れば吉」は、この卦が持つ結婚の意に関係して繋けられた辞だが、これを「女性の票を取れば吉」と読み替えると、逆に言えば「女性の票を取れなければ凶」とも言える。
果たして、ヅラの不動産王は女性に受けるだろうか。
むしろ、女性は同じ女性をただでさえ応援したがる傾向があるから、これはやはりオバハンに有利に働くと見たい。
そもそも、あんなキ○ガイが大統領になるなら、①の占ではもっとヒドイ卦が出ただろう。
④各国の国運アメリカはこのところ停滞気味だったが、漸二爻というのはまずまずの吉兆ありとすべきだろう。
卦辞には「女帰ぎて吉」とあり、この辺りも暗にオバハンの当選を易神がほのめかしているような気がする。
彖伝には「もって邦を正すべきなり」とあって、これもオバマ軟弱政権の過ちを正すということを言ったものか(もっともオバマの任期はまだ残っているので、実際には来年からの始動になるが)。
風山漸は吉卦とはいえ、勢いの穏やかな卦で得爻も六二の陰爻であるから、進み方はどちらにせよゆっくりである。
現政権にとっては最終年であるから、何か大きな事を始める可能性も低い。
面白くないが、ロシアは沢地萃五爻で、こちらもまずまずの吉兆がありそうだ。
昨年のように、旅客機が墜落したり、戦闘機を撃ち落とされたりすることはなかろう(沢地萃を大坎の似卦と観られなくもないが)。
大象伝には「君子もって戎器を除め、不虞を戒む」とあり、ロシアを君子と言うことが出来るかはさて置き、今年はお得意の傲慢な武力行使には出ないのではないか。
中国は山風蠱であるが、昨年の鼎初爻と同じように、長い時間をかけて蓄積した問題を解決するという意味があるので、これも得卦が昨年からの連続性を持っていて面白い。
新井白蛾は「門内賊あるの象」と言っているが、或いは内側での争いがあるかもしれない(ウイグルやチベットなど内輪での独立運動絡みのテロなどは可能性があろう)。
北朝鮮は剥の二爻で、相変わらず衰運の気配こそ漂うものの、得爻は内卦であるから、ただちにどうこうはならないだろう。
上爻において剥ぎ尽くされるとすれば、4~5年後あたりにいよいよ体制崩壊が待ち受けているか。
⑤国内の動向大坎卦であり、あまり良くはなさそうだ。
白蛾の象意考には「門前兵有るの意」とあり、これは安保法制絡みの波乱が尾を引くと観るか、或いは門前とすれば、中国の領海侵犯等か。
しかし、庵主が注目したのは別のところで、得爻の辞と彖伝の「喪は哀しみに過ぎ」である。
かようなことを書くのは不敬極まりないので、大いに憚られるのだが、庵主の胸中をよぎった不安は、今上陛下に何事かあるのではないかということだ。
御高齢でもあるし、御健康にも不安な点があられるようだから、臣民として大いに心配である。
⑥参院選における安倍自民党の運勢今年は参院選が行われるので、とりあえず自民党の運勢を立卦してみた。
得卦は損なので、文字通り、議席を減らすことになるのではないだろうか。
損卦もまた泰中の一陽が外卦へ行った卦で、六三の辞も交易生卦的表現だ。
内卦乾を自民党とすれば、その議席が外卦の野党側へ行くことになると観た。
⑦日本経済の趨勢②の占と同じく、本卦に屯を得ており、爻卦も似通っている点が目を引く。
屯なので好景気とは行かぬが、君位九五の爻卦は震、応じる六二の爻卦は離であるので、屯卦の持つ凶意はそれほど強く出ないと観たい。
また、一爻変につき、素直に爻辞を取れば、屯卦中最も吉意の強い辞が繋けられている。
⑧円相場こちらも一爻変である。
九四に繋けられた「或いは躍り、淵に在り」は、乱高下そのままの辞だろう。
爻卦には艮山が三つあるので、全体としてはあまり円高には振れず、全体としては円安傾向を示すと観る。
之卦の風天小畜も「小しくとどめられる」であるから、やや円安といった程度か。
乾九四の辞に「无咎」とあり、これは日本経済にとって望ましい程度の円安なのだろう。
⑨日経平均株価の推移本卦艮為山について、加藤大岳氏は「高値保合いの占」と言っており、山雷頤については「上げと下げと拮抗して、高下を繰返す傾向が強いけれども、孰れかと言えば騰勢の方が強い」と言っている。
とすれば、今年の株価はなかなか好調のようだ。
しかし、大岳氏の解説をそのまま引くだけでは芸が無い上に、一抹の不安がよぎるので、大四象筮でも立卦してみた。
本卦損を見れば、株価は下落しそうな気配だ。
加藤大岳氏は、「安値保合の中にあって、少しく下り気味の活気に乏しい動きながら、変じて臨に変ずる場合には、今は不振でも先高の機を孕んでいるものと占察」と言っている。
之卦は臨ではないが、臨の陽気が更に増長した泰である。
そして、山沢損は泰の交易生卦と観られるので、本之卦を対照すれば、先の中筮での占考とはやや食い違う面もあるが、やはり今年の株価はそう悪くないと判断して大過なかろう。
前半は損で下落し、後半に反発するとも観られる。
株価が好調だとすれば、自民党が議席を減らす可能性が低くなると思うのだが、閣僚のスキャンダルなど他の要因が出てくるのだろうか。
⑩災害今年の日本列島を象徴する災害には火地晋が示された。
離を台風の目と観れば、坤土の日本列島に台風が上陸した象とも解することが出来、三爻~五爻の互坎は台風からの雨と観ることが出来るので、今年もまた台風の被害が大きいということか。
或いは、晋卦の象は地上に離火の現れた姿であり、自然災害とすれば火山噴火や噴火による新島誕生なども晋卦の範疇と言えるかもしれない。
また、地上の太陽であるから日照りも晋卦の象であるが、農業が被害を被るとはいえ、これを自然災害とまで言えるかどうか。
素直に解釈すれば台風かと思うが、どちらにせよ初六の爻辞はそれほど凶兆がある訳ではないので、さして大きな被害はもたらさないだろう。
年末に詳しく検証してみたいと思う。
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