『日本文化史研究』内藤湖南著
- 2016/01/24
- 10:56
『日本文化史研究』内藤湖南著(講談社学術文庫/1976年初版)
内藤湖南の述作中、もっとも人口に膾炙したものは、『日本文化史研究』(上下)だろう。
我が国の文化は古くより中国文化の影響を受けながらも、その中に独自のそして豊穣な文化が形成された。
本書上下巻に収められた19の諸篇において、湖南は鋭い洞察と鮮やかな語り口でその本質に迫って行く。
諸篇盡く精彩を放って捨てがたい魅力があるが、今日の日本文化が応仁の乱以後に形成されたと喝破する「応仁の乱について」(下巻所収)は余りにも有名。
「大体今日の日本を知るために日本の歴史を研究するには、古代の歴史を研究する必要は殆どありませぬ、応仁の乱以後の歴史を知っておったらそれでたくさんです。それ以前の事は外国の歴史と同じくらいにしか感ぜられませぬが、応仁の乱以後はわれわれの真の身体骨肉に直接触れた歴史であって、これをほんとうに知っておれば、それで日本歴史は十分だと言っていいのであります。」
諸家好んで引用するこの一節を、どこかで目にされた人も多かろう。
庵主は、上巻なら「近畿地方の神社」、下巻では「日本文化の独立」あたりを特に面白く読んだ。
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