ホジュンと瓊玉膏
- 2016/04/27
- 18:15
『寿世保元』や『本草綱目』に記載された神仙薬に瓊玉膏(ケイギョクコウ)という名の膏薬があって、ホジュンの『東医宝鑑』では巻一内景篇の養生延年薬餌に登場している。
服用すると白髪が黒くなるとか、歯が抜けて生え変わるとか、六十四年間服用すると五百歳まで生きられるとか、大仰な効能が記されているのは神仙薬の例に漏れないが、吉益東洞に傾倒して疾医の道を説いた庵主の師は何故か此の瓊玉膏がお気に入りだったらしく、患者にもちょくちょく薦めておられたようだ。
最初にもらった時は、膏薬というので塗り薬かと思っていたが、実際には舐め薬で、毎日スプーンひと匙程度を舐めるものだそうだ。
味はなんだか仏壇みたいである。
まぁ仏壇を食べたことはないけれど、とにかくそんな感じなのだ。
地黄の味らしいが「甘い仏壇」という表現が自分には一番しっくりくる。
なんでも、かの福山雅治も愛飲しているらしい。
しかし、神仙薬がすべて“久服”を説くように、この瓊玉膏もまた一瓶飲んだ(舐めるというべきか)程度ではさっぱり効果は現れず、一ダースくらい服用して初めて手ごたえがあると私の習った先生は話されていた。
かつて、長野県の信州薬品という会社が、「パナックス・ケイギョク」の名で、非常に優れた瓊玉膏を製造していたが、2013年に倒産してしまい、いまや幻の瓊玉膏となってしまった。
手元には、千葉の先生から戴いた未開封の小瓶が一つあるのみである。
他にも、瓊玉膏を作っているメーカーはあるようだが、信州薬品のパナックスケイギョクほどには品質は良くないそうだ。
いや、それで良いのかもしれない。
500歳まで生きる人が続出したら、年金制度が成り立たなくなるのだから。
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