宇和島へ②
- 2016/05/28
- 09:04
宇和島市役所から取り寄せた除籍謄本には、自分から数えて五代前の先祖に長治という人が記載されており、市街地より南西の方角にある三浦という漁村に住んでいたようだ。
つまりここが一族発祥の地ということになる。
海の水はとても澄んでいて、真っ黒に日焼けしたご夫婦が海苔だかワカメだかの海藻を天日干しにする作業をしている。
土地の人だろうから、恐らくは物凄く遠い縁者ではないかとも思う。
郵便局で住宅地図を見せてもらったが、庵主と同姓の家は一件も無いようだ。
しかし、先祖が見た海の風景は住宅や漁船が少々近代化したことを除いて、ほとんどそのままに眼前に広がっている。
辿ることが出来るのは、明治初めに作られた謄本のみで、長治が何時生まれて何時卒したのかも判然としない。
しかし、この何の変哲もない鄙びた漁村にかつて自分の先祖が恐らくは何代にも渡って生活し、婚姻関係によって派生した遠い縁者が相当に居ることだけは確かだろう。
親類の誰も辿ったことのなかった道程だけに、感慨深いだけでなく、胸中に不思議な感覚の去来するものがある。
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