『支那学術文芸史』長澤規矩也著
- 2016/07/27
- 18:45
『支那学術文芸史』長澤規矩也著(三省堂/1938年刊)
長澤規矩也の本では、『支那学術文芸史』も好きな一冊だ。
中国思想史の概説であるが、表題にある通り、詩文小説などの文芸についても力を入れて書かれている。
文体も古めかしく、若書きの部類に入る書物かと思うが、それだけに筆致にも勢いがあって良い。
戦前の刊行であるから修正すべき内容も多々あろうが、碩学の書いた通史や概説書には、時を経て色褪せない明晰さがあって、一読実に分かりやすいことほとほと感心させられる。
昨今書店に並んでいる類書にも時折手を伸ばすが、斜め読みしてどうにも分かり難く感じ、結局購入に至らないのは、ひとり庵主の頭脳が理解力を欠いている為とばかりも言えないようだ。
ググってみても、この本の書評を書いている人は一人も見つけられなかったが、こういう古めかしい書物の魅力を取り上げるのも悪いことではあるまい。
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