蒼流庵蔵書あれこれ~其の弐~
- 2016/08/15
- 18:00
小西甚一の『日本文芸史』は、セットで購入すると高価だった為、セコセコとバラで揃えたのだが、五巻目が中々手に入らず苦労したシリーズである。
庵主の師の一人であるM先生は野口整体の達人であるが、『体運動の構造』と『体癖』の2冊は、毎年正月に再読するのを習慣にしていると仰っていた。
私家版(?)の講義録の類を必死で集めている連中とはやはり格の違いを痛感させられる。
『解体新著』は百目鬼の遺作であるが、挙げられている本が『風の書評』と違ってどれも小粒である為、迫力を欠いていて、思えば、日本の出版文化の衰退を如実に反映しているような気がする。
我が心の師・青木宏之先生の自伝『生きる日 輝く日』も好きな本だが、山田孝男の『マジカル・チャイルドの記憶』はもっと好きだ。
著者の誠実さがよく出ているし、精神世界に興味のある方なら一読して損はない。
最近は顧みる人が少ないようだが、カントと言えば何といっても高峯一愚だ(と思う)。
『永遠のエドガー・ケイシー』は、かつて『川がある』の題で出ていたもの。
ケイシーの伝記では最も優れたものだろうと思う。
そういえば、お肌ベコベコのケーシー高峰は最近見かけないので死んだものと思い込んでいたが、ググってみるとまだ存命のようだ。
日本で福田恆存ほど“平和”を的確に論じた人は居なかったと思うのだが、かかる常識人がどうした訳か一頃の我が国では“右翼”のレッテルを貼られていた此の奇奇怪怪。
ナボコフの文学講義もちょっぴり自慢の蔵書だったのだが、最近河出文庫に入ってしまってガッカリ。
左端の日高普先生の二冊はえぇぞ、左翼にもこんな鋭い頭脳の持ち主が居るのかと、一読驚いた記憶がある。
その昔送ったファンレターに応えて、まだ持っていなかった御高著を恵与された想い出が懐かしい。
先生はその後しばらくして逝去された。
戦後間もない頃からの吉行淳之介の親友で、焼け跡の東京を共によく散策されたそうだ。
小室直樹の後期の本はあまり好きではないが、出たらついつい買ってしまう私はやはりファンだったのだろう。
日高普先生の『日本経済のトポス』はあまり知られていない本だが、文体のある優れた日本経済史だと思う。
ラジニーシの『私が愛した本』は、もう10回以上再読した文字通りの愛読書。
オウム事件の先駆とも言われるカルト事件の中心人物だが、これほど詩情豊かに書物を語った本を私は他に知らない。
ウスペンスキーの『ターシャム・オルガヌム』、『新しい宇宙像』は共に、『私が愛した本』に紹介されていたものだが、私がこれらの本を知った時にはターシャムは未訳、『新しい宇宙像』は悪評高い訳本『超宇宙論』が工作舎から出ているのみであった。
織田先生の『正しい占いの使い方』は中々の名著だと思うので、その内ご紹介したいと思っている。
『絶版文庫発掘ノート』は、刊行後、大きな影響を及ぼした本で、これがきっかけとなって、岩波や新潮、角川らが絶版文庫の復刊に乗り出すこととなった。
何と著者の本業は鍼灸師らしい。
この一段はやや懐かし目の本が多く並んでいる。
続く・・・。
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