周易復古三十六変筮法の怪
- 2017/02/19
- 21:08
通常、本筮法や大衍筮法と称する繋辞伝記載の筮法を、我々は朱子の説くが如き十八変筮として理解している訳だが、庵主の最も崇敬する鴻儒・根本通明翁は、朱子を駁して、三十六変により大成卦を得る筮儀こそ、真の繋辞伝の筮法であるとし、周易復古三十六変筮法として之を打ち出している。
嘉永二年、始めて十有八変して卦を成すとは、乃ち三画小成の卦にして、六画大成の卦にあらざるを悟り、之を思い、之を思うもの数年、簡練して以て三十六変筮説を成すという。
勿論、朱子が説くような十八変筮法について疑いを持った儒者は、独り根本通明のみならず、清の毛奇齢、我が国では皆川淇園、戸崎淡園らが居るといい、繋辞伝には「十有八変而成卦。八卦而小成」とあるも、十八変にして六画の重卦を得るとしたら、後の「八卦而小成」の文にうまく接続しないことから、朱子の筮儀を疑ったものである。
しかし、十八変を否定して三十六変の復古筮法(と称するもの)を採るとなると、問題となるのが残策の数である。
十八変筮では、一爻を決定するのに必要な揲筮操作は三変で、残策の約数九八七六によって老陽少陰少陽老陰が決定される訳だが、復古筮法では、六変して残る策数は、二十四から零までの七通り(24、20、16、12、8、4、0)となって、爻の陰陽が二分されず、また老陽老陰がない為に変爻が無い、つまり、三十六変の揲筮で表出されるのは重卦一つとなるのだ。
左伝の古占例では、不変卦だけでなく、多爻動の占が載せられているのに、三十六変筮の場合、これらの占例の如き卦が得られないことになるが、然らば如何にするのかというと、もう一度、三十六変して大成卦を出し、先に出した卦と対照して、変爻を決めるというのである(九鬼盛隆『筮法詳解』)。
紀藤元之介氏の四遍筮で変爻と見做される爻を決定するのと同じような理屈であるが、これには非常な無理を感じる人が多いのではあるまいか。
読者諸賢は、根本式の三十六変筮については其の存在を既に御承知のことと思うが、本之卦を対照する占の為には、実際には七十二変筮でなくてはならないということを知っている人は意外に少ないのではないかと思う。
嘉永二年、始めて十有八変して卦を成すとは、乃ち三画小成の卦にして、六画大成の卦にあらざるを悟り、之を思い、之を思うもの数年、簡練して以て三十六変筮説を成すという。
勿論、朱子が説くような十八変筮法について疑いを持った儒者は、独り根本通明のみならず、清の毛奇齢、我が国では皆川淇園、戸崎淡園らが居るといい、繋辞伝には「十有八変而成卦。八卦而小成」とあるも、十八変にして六画の重卦を得るとしたら、後の「八卦而小成」の文にうまく接続しないことから、朱子の筮儀を疑ったものである。
しかし、十八変を否定して三十六変の復古筮法(と称するもの)を採るとなると、問題となるのが残策の数である。
十八変筮では、一爻を決定するのに必要な揲筮操作は三変で、残策の約数九八七六によって老陽少陰少陽老陰が決定される訳だが、復古筮法では、六変して残る策数は、二十四から零までの七通り(24、20、16、12、8、4、0)となって、爻の陰陽が二分されず、また老陽老陰がない為に変爻が無い、つまり、三十六変の揲筮で表出されるのは重卦一つとなるのだ。
左伝の古占例では、不変卦だけでなく、多爻動の占が載せられているのに、三十六変筮の場合、これらの占例の如き卦が得られないことになるが、然らば如何にするのかというと、もう一度、三十六変して大成卦を出し、先に出した卦と対照して、変爻を決めるというのである(九鬼盛隆『筮法詳解』)。
紀藤元之介氏の四遍筮で変爻と見做される爻を決定するのと同じような理屈であるが、これには非常な無理を感じる人が多いのではあるまいか。
読者諸賢は、根本式の三十六変筮については其の存在を既に御承知のことと思うが、本之卦を対照する占の為には、実際には七十二変筮でなくてはならないということを知っている人は意外に少ないのではないかと思う。
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