あれから16年
- 2017/09/11
- 00:15
早いもので、米国を襲ったあの忌まわしき同時多発テロ事件から16年になる。
22世紀に前世紀の十大ニュースを選ぶとしたら、間違いなく此の事件は上位に挙げられるに違いない(少なくとも、2017年現在ではこの事件がトップの筈だ)。
ちょうど、速報が伝えられた時、私は長谷川慶太郎氏の『中国「近代化」の幻想』(ダイアモンド社)を読んでいたのだが、テロのお陰で此の本のこともまた大変印象的なものとなった(今はどうか知らないが長らく稀覯本で何年もかけてようやく入手した思い出の本でもある。故谷沢永一氏大絶賛の一冊だった)。
こんな大事件なら、易にも当然表れているに違いないとフト思い立ち、当時の『易学研究』誌を引っ張り出してみた。
すでに加藤大岳先生は物故者となられて、名物「時運の推断」は、大熊茅楊門の福田有宵先生が引き継がれていたが、なるほどちゃんと得卦には、事件が示されているようだ。
坎為水には、飛行機の象があるし、内外卦の主爻に震雷が配されているのは、今から見れば不気味な得卦であるとしか言いようがない。
これを徐々に坎難を柔軟化する動きがあっても、不変卦で大きな展望なしとしたのは誤断であるけれど、まさか、ビルに飛行機が突っ込むなど予想もつかないことである。
なお、実際にハイジャックされたのは4機だが、やはり事件を象徴するのは、WTCに突っ込んだ2機であるから、坎為水というのは、事件を実によく表した得卦であると思う。
また、毀折を表す兌が爻卦に三つもあることが目を引く。
アメリカの国運に火の大卦である中孚を得ているのも、不謹慎ながら面白い(上九の辞も飛行機を連想させるところがあるようだ)。
続いて月別の推断であるが、ここにも、ビルの倒壊を表す山地剥が示されていて興味深い。
和平のための交渉、妥協が成立する意がなく、メッキが剥がれるごとく利害関係の生地が表出するところが之卦の渙だというのも、今から見れば的外れな読みであるが、これも同様に、予想もつかないような事件であるということを考えれば、福田先生の中々の得卦力(とでも言えば良いのか)を称賛すべき占だろう。
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