2012年の年末に東洋書院より刊行された『周易外伝』は便利な本だ。
著者の岡竜玄先生(1932~)は、周易や人相、推命などを学ばれた方で、紀藤元之介先生、石本有孚先生、広瀬宏道先生らに学ばれており、加藤大岳先生晩年の『易学研究』の研究会の記録では何度かご本名で登場されている。
長らく京都で周易の講座を持たれており、講座のテキストが原書房などで販売されているが、一般書籍として世に出たのは本書が最初である。
実占家らしい解説で、読卦の参考になるヒントが沢山書かれているし、当てるのが簡単なようで難しい選挙占や勝負占の占例が多く収載されていて勉強になる。
巻末には広瀬宏道先生がその昔作成された「易学用語集」が収録されており、初学者には便利であろう。
今回、白蛾随貞と続けて記事をアップする中で、本書をご紹介したのは、白蛾の象意考と随貞の卦象解が収載されているからである。
白蛾の著作と比べて随貞のものは、流通量が少なくて入手が難しい。
その点、本書は一挙両得であるし、それぞれの相違点を調べるのにも適していよう。
ただ、岡先生は読者の便宜をはかるため、読み下しておられるけれど、これは本来の味わいを少しそいでしまっている気がする。
3990円と少しお高めであるが、象意考・卦象解の他に、高松貝陵の幹卦断則もついているから、お得感のある一冊であることを書き添えて、優柔不断な読者の購買意欲を刺激しておこう。
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