白蛾易の特徴
- 2014/01/25
- 20:01
新井白蛾の易術の特徴をいくつか見てみよう。
三変筮を慣用
まず、筮法としては三変筮を用いていることが挙げられる。
そして、その三変筮は高島嘉右衛門のような爻辞占ではなく、本卦と之卦を共に重く見て、爻辞ではなく、象で判断する観卦法だ。
学と術との断絶
白蛾は朱子学者であり、その最大の著である『古易断』(内編10巻・外編10巻)を読めば、儒者としての白蛾が周易の経文をどのように読んでいたかがよく判る(もっとも、漢易の研究で有名な鈴木由次郎博士は、白蛾の『周易』解釈には見るべきものはない、とかなり手厳しい評価を下しておられる)。
問題は、周易経文を随分勉強しているにも関わらず、占断になると経文とは密着せずに、象を主として判断しており、易学と占筮との間には顕著な断絶がある点だ。
朱子が爻辞に拘って、なんとか本筮法でも爻辞を活用出来るように思案した挙句、「七考占」というゴリ押しを編み出したのは有名であるが、朱子学者である筈の白蛾は占断においては爻辞などまるで考慮していない。
断易の利用
著書を読むと、邵康節を尊敬する白蛾は梅花心易を褒め、断易をけなしているが、実際には断易の理論を随分使用しており、著書の端々に出てくる即時占の項目が『断易天機』のパクリであることは既に見た通りだ。
もっとも、著述に断易の影響が顕著であるからといって、実際の占断にも断易の技術が用いられたとは言い切れないけれど。
白蛾易の秘伝
白蛾易の秘伝として有名な技法には、「天眼通」や「響通伝」があり、大雑把に云えば前者は生卦の法であり、後者は一種の無筮立卦法である。
これに加えて時期の推断に用いる「上月定局」あたりが、白蛾易の技術的特徴と言えようか。
白蛾の秘伝集としては、大島中堂が校訂して明治末期に出たものが有名で、現在は八幡書店から復刻されているから、容易に入手出来る。
ただし、今も昔も“秘伝”の二字は、占術愛好家を惹き付けて止まないが、大岳先生も言っているように、白蛾の秘伝にはそのときの思いつきと思われるものが多くて、易機構の原理から外れたものが少なくなく、実占に当たって有用かどうかという点になると甚だ怪しいものばかりで、結局は幻滅する羽目になるであろうことを申し添えておく。
卦の吉凶
白蛾は乾卦を特に凶の卦としていたことは良く知られており、『易学小筌』には「此卦ハ当世ノ俗人ニハ不利。位負ノスル意アリ」とある。
薮田嘉一郎先生は、白蛾の観卦法の主張は卦の性情と当時の人情との相応・不相応の弁別であり、これを彼のエディプスコンプレックスによって色付けしたのが彼独自の観卦となったと考えられ、故に、本来の卦意とは逆にとって行くので、吉卦が凶卦となり、凶卦も吉卦となることが多い、と言っている。
例えば、『古易一家言』では、屯卦を「自然ト便宜ヲ得ベシ」といい、大有を「当世ノ俗焉ゾ此徳ニ当ンヤ。是凶兆」といい、剥を「剥ハ尽也。木葉脱スルノ跡即芽ヲ含ムノ義。此占吉兆」というのもそうで、今日の我々が取る卦意とは随分ニュアンスが違うのが解るはずだ。
その他、ほとんど毎卦のように「破財ノ兆」「願望不叶」の語があって、六十四卦悉く吉少なく凶が多いのは、白蛾がずいぶん生活に苦労した人であることを物語っていると薮田先生は推測されている。
三変筮を慣用
まず、筮法としては三変筮を用いていることが挙げられる。
そして、その三変筮は高島嘉右衛門のような爻辞占ではなく、本卦と之卦を共に重く見て、爻辞ではなく、象で判断する観卦法だ。
学と術との断絶
白蛾は朱子学者であり、その最大の著である『古易断』(内編10巻・外編10巻)を読めば、儒者としての白蛾が周易の経文をどのように読んでいたかがよく判る(もっとも、漢易の研究で有名な鈴木由次郎博士は、白蛾の『周易』解釈には見るべきものはない、とかなり手厳しい評価を下しておられる)。
問題は、周易経文を随分勉強しているにも関わらず、占断になると経文とは密着せずに、象を主として判断しており、易学と占筮との間には顕著な断絶がある点だ。
朱子が爻辞に拘って、なんとか本筮法でも爻辞を活用出来るように思案した挙句、「七考占」というゴリ押しを編み出したのは有名であるが、朱子学者である筈の白蛾は占断においては爻辞などまるで考慮していない。
断易の利用
著書を読むと、邵康節を尊敬する白蛾は梅花心易を褒め、断易をけなしているが、実際には断易の理論を随分使用しており、著書の端々に出てくる即時占の項目が『断易天機』のパクリであることは既に見た通りだ。
もっとも、著述に断易の影響が顕著であるからといって、実際の占断にも断易の技術が用いられたとは言い切れないけれど。
白蛾易の秘伝
白蛾易の秘伝として有名な技法には、「天眼通」や「響通伝」があり、大雑把に云えば前者は生卦の法であり、後者は一種の無筮立卦法である。
これに加えて時期の推断に用いる「上月定局」あたりが、白蛾易の技術的特徴と言えようか。
白蛾の秘伝集としては、大島中堂が校訂して明治末期に出たものが有名で、現在は八幡書店から復刻されているから、容易に入手出来る。
ただし、今も昔も“秘伝”の二字は、占術愛好家を惹き付けて止まないが、大岳先生も言っているように、白蛾の秘伝にはそのときの思いつきと思われるものが多くて、易機構の原理から外れたものが少なくなく、実占に当たって有用かどうかという点になると甚だ怪しいものばかりで、結局は幻滅する羽目になるであろうことを申し添えておく。
卦の吉凶
白蛾は乾卦を特に凶の卦としていたことは良く知られており、『易学小筌』には「此卦ハ当世ノ俗人ニハ不利。位負ノスル意アリ」とある。
薮田嘉一郎先生は、白蛾の観卦法の主張は卦の性情と当時の人情との相応・不相応の弁別であり、これを彼のエディプスコンプレックスによって色付けしたのが彼独自の観卦となったと考えられ、故に、本来の卦意とは逆にとって行くので、吉卦が凶卦となり、凶卦も吉卦となることが多い、と言っている。
例えば、『古易一家言』では、屯卦を「自然ト便宜ヲ得ベシ」といい、大有を「当世ノ俗焉ゾ此徳ニ当ンヤ。是凶兆」といい、剥を「剥ハ尽也。木葉脱スルノ跡即芽ヲ含ムノ義。此占吉兆」というのもそうで、今日の我々が取る卦意とは随分ニュアンスが違うのが解るはずだ。
その他、ほとんど毎卦のように「破財ノ兆」「願望不叶」の語があって、六十四卦悉く吉少なく凶が多いのは、白蛾がずいぶん生活に苦労した人であることを物語っていると薮田先生は推測されている。
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