『本棚探偵の冒険』喜国雅彦著
- 2016/08/03
- 22:17

『本棚探偵の冒険』喜国雅彦著(双葉社/2001年刊)喜国雅彦氏(1958~)のエッセイ集『本棚探偵の冒険』は、本好きには堪らなく面白い本だ。著者の本業は漫画家であるが、探偵小説の蒐集家でもあり、エッセイ集たる本棚探偵シリーズは現在4冊刊行されていて、本書は其の第一作目である。登場する本は基本的に探偵小説なのだが、軽妙洒脱な筆致で非常に読みやすいばかりでなく、内容は本好きなら等しく楽しめること請け合いだ。しか...
製本屋へ行こう
- 2016/08/01
- 18:13

私は勉強会で配布された資料は勿論、ネットサーフィンで拾ったようなものでも、再読の価値ありと判断すれば、手を加えて製本するようにしている。HPやブログなどは何時閉鎖されるか分からないから、内容のあるものはなるべく纏めてwordファイルに保存するように努めている。自分で作成した資料は言わずもがなだ。ソフトカバーの無線とじ製本は一冊から受けてくれるところが少ないが、堺のNISSEIさんは1冊300~500円で受けてくれる...
私的読書法
- 2016/07/30
- 17:28

読書の方法など、文字通り十人十色で、読書家の数だけ異なったやり方があると言えるかもしれない。そして、その方法も普通は長い年月をかけて作り上げられていくものであろう。しかし、娯楽小説を楽しむが如き暇つぶしの読書ならいざ知らず、何らかの知的生産活動を前提として書物に取り組むなら、それに適した読書の方法をなるだけ早いうちに確立するのが望ましいと最近とみに感じるところがある。書店に行くと、読書論や読書の技...
コピー機、この有難きもの
- 2016/04/12
- 18:04

国会図書館の遠隔複写は大変有難いサービスだが、もっと言えば、コピー機というものに現代の我々はどれだけ助けられているか知れない。一昔前なら、図書館などから借り出した書物を写すには、自分で筆写するしか無かったのだから。書物が木版刷りだった時代は、本そのものが今のように安価ではないから、全項を筆写した涙ぐましい写本が多く存在する。もっとも、昔の本は現代のそれと比べて全体に文字数が少ないので、よほど大部な...
遠隔複写
- 2016/04/04
- 18:08
国会図書館の遠隔複写は、実に有難いサービスで、庵主は頻繁に利用している。この頃は、随分古い論文も検索にかかるようになって来て、一週間ほど待てば、地方に居ながら、それら貴重な情報にアクセスすることが出来るのは大変嬉しいことだ。勿論、全ての論文が検索可能かと言えば、そんなこともないのだが、それでも、一昔前とは隔世の感があって、我々が情報技術の進歩から受ける恩恵には多大なものがある。一枚税抜24円の複写料...
国会図書館関西館
- 2016/04/01
- 18:43

国立国会図書館関西館(京都府相楽郡精華町精華台8丁目1−3)先日、初めて国会図書館の関西館へ行って来た。恥ずかしながら、足を運ぶのは初めてのことだ。永田町の本館は何度も利用しているが、これまで関西館はわざわざ出向くほどの必要性が無かったのである。つい先日開館したと思っていたのに、もう16年というから月日の経つのは早いものだ。今では国内の出版物は本館と関西館とに一冊ずつ納本することが義務付けられているが、...
『〈裏〉日本音楽史』斎藤桂著
- 2015/05/05
- 14:21

『〈裏〉日本音楽史』斎藤桂著(春秋社/2015年刊)新進気鋭の近代文化史研究家・斎藤桂先生(大阪大学文学博士)より、御新著『〈裏〉日本音楽史』(春秋社)を恵与された。先生とは直接の面識はないのだが、昨秋、初代目黒玄龍子についてお問い合わせがあり、持ち合わせている情報をご提供した。逆にこちらの方が新事実を教えられたようなところもあるのだが、新著出版の暁には一冊進呈したいと御丁寧なお申し出を頂き、以降楽し...
デジタル資料を活用しよう
- 2014/09/15
- 18:32
私は以前、医学古典蔵書の整理&目録作りを一週間だけバイトでしたことがあるのだが、この一週間は何物にも代えがたい経験であった。買ったまま付いている値札で当時の古書価も分かるし、何よりどのような古典があるのか広く見渡すことが出来た。傷寒論の注釈書から名も無き医家の私家版まで、先人の学問の成果に触れる実感を得たのは、この時が最初であったように思う。私のような貧乏学徒には原書を揃えるような財力は無いし、保...
中文書を買おう
- 2014/09/14
- 10:50
「中国人は日本人の10倍居るのであり、アホも10倍、賢いのも10倍居る。日本では素問の研究者は柴崎先生の門下数名、あとは数えるほどしか居ないが、中国には素問の専門家だけで300人も居るのだ」これは、私の習った先生が時々言っておられたことである。これは、書籍にも当てはまるのであり、日本と中国とでは、出版される東洋医学書の量は比較にもならない。勿論、東洋医学を扱う制度そのものが違うのだから、仕方のない面もある...
『細胞の起源』オルガ・レぺシンスカヤ著
- 2014/08/14
- 12:05

オルガ・レぺシンスカヤ独創的な八大原理で構成される千島学説であるが、個々の学説については同じような学説が先行して海外でも提唱されている。例えば、獲得形質が遺伝するという説においては、旧ソ連のトロフィム・ルイセンコ(1898~1976)によるルイセンコ学説というのがあった。しかし、スターリンの支持を得てルイセンコ学説は中国や北朝鮮でも採用されるに至ったものの、スターリン没後のスターリン批判に伴ってルイセンコ...